Ubuntuの公式サイトからダウンロードしたUbuntu Serverのディスクイメージを書き込んだUSBメモリを使って、PCにUbuntu Serverをインストールします。サーバですので、PCにはディスプレイやキーボード・マウスを接続しない「ヘッドレス」での運用を行いますが、インストール作業の最初の段階ではディスプレイとキーボードが必要になります。
インストールに用いたPCはAMD Ryzen™ R5 4500U (6コア6スレッドのGPU内蔵CPU)を搭載したASUS Mini PC PN50というPCです。これにDDR4-3200メモリ8GB x 2枚と1TB NVMe SSD (WD Blue SN570)を搭載しています。
なお、Ubuntu Server 22.04.2 LTSのインストール作業は、言語の選択画面から先の操作はSSH経由で行うことができます。このページではSSH経由で、Ubuntu Serverの他にWindowsやMacなどSSHコマンドが使用できるクライアントPCを用意しておいてください。また、WindowsではWindows TerminalをインストールしてSSHを操作しています。
USBメモリからの起動
PCにはディスプレイとキーボードを接続しておきます。
PCの電源をオフにしてディスクイメージを書き込んだUSBメモリを挿して、PCの電源をオンにします。このとき、ブートメニューを表示できればUSBメモリを選択して起動しますが、PN50にはブートメニューが無いので、DELキーまたはF2キーを押してUEFI BIOSの設定画面を表示します。
UEFI BIOSの画面で「Boot」タブを選択し、「Boot Override」の下に並んでいるストレージのリストからUSBメモリを選択(Enterキー押下)して、「Save Configuration?」と確認画面が表示されたら「Yes」を選択します。
Ubuntu Serverのインストール
GRUBの画面が表示されたら「Try or Install Ubuntu Server」を選択します。
SSHからのインストール操作
言語の選択画面が表示されたら、上下カーソルキーまたはTabキーで[Help]の位置まで移動してEnterキーを押し、下カーソルキーまたはTabキーで「Help on SSH access」の位置まで移動してEnterキーを押します。
「Help on SSH access」の画面に、SSHの接続先として「installer@IPアドレス」とパスワード(The password you should use is “・・・”)が表示されます。
WindowsやMacなどでターミナルを開いて、SSHで接続します。コマンド入力後、画面に表示されているパスワードを入力します。
ssh installer@192.168.xxx.xxx
ターミナルに言語の選択画面が表示されたらSSH接続に成功しています。
日本語環境の設定
下カーソルキーを押して「日本語」を選んでEnterキーを押します。
キーボードの設定画面では、Layoutに「Japanese」、Variantに「Japanese – Japanese (OADG 109A)」を選択して[Done]でEnterキーを押します。
インストールタイプの選択
インストールタイプの選択画面では、Ubuntu Serverを選んで[Done]します。
ネットワークの設定
ネットワークの設定画面では固定IPv4アドレスを設定します。Ethernetデバイス(eth)を選択するとメニューが表示されるので「Edit IPv4」を選びます。サブネットマスクはドット付き十進表記(255.255.255.0)ではなく、スラッシュを使った表記(192.168.xxx.0/24)です。DNSサーバにはGoogle Public DNS (8.8.8.8)を使っています。
ここで固定IPv4アドレスを入力するとIPv4アドレスの変更が行われ、SSHが切断されてしまいますが、WindowsやMacのターミナルから固定IPv4アドレスに対してSSH接続しなおすことで、インストール作業を再開することができます。
ssh installer@【固定IPv4アドレス】
ネットワークの設定画面まで戻ったら[Done]を選びます。
プロキシサーバの設定やアーカイブミラーの設定はデフォルトのまま[Done]を選びます。
ストレージの設定
ストレージの設定では1TBのSSDを2つのパーティションに分割するため「Custom storage layout」を選んでいます。もしパーティションを分割しないのであれば、デフォルトのまま「Use an entire disk」を選びます。
既にパーティションを作成している場合、Reformatで初期化できます。
Reformatすると「free space」ができるので、これを選択して「Add GPT Partition」を選びます。
Ubuntuのルート(/)へマウントするパーティションサイズは250GBにしています。[Create]を選ぶとルートパーティションができます。同様に、残りの「free space」も「Add GPT Partition」でパーティションを作成しますが、Sizeは空欄のまま、Mountは「Leave unmounted」を選んで、インストール後にマウントすることにします。
ストレージの設定画面で[Done]を選ぶと確認メッセージが表示されるので、[Continue]を選んで次に進みます。
プロファイルの入力
プロファイルの設定画面ではYour nameに氏名を入力して、さらに以下の情報を入力します。
Your server’s name | ホスト名 |
Pick a username | Ubuntuのログインユーザ名 |
Pick a password | ログインユーザのパスワード Confirm your passwordにも同じパスワードを入力する |
Ubuntu Server 22.04.2 LTSではUbuntu Proへのアップグレードを促されますが、ここでは「Skip for now」を選んでいます。後から「pro attach」コマンドでUbuntu Proを有効にできるとのこと。
SSHの設定では「Install OpenSSH Server」を有効にします。
Server Snapsの設定はデフォルトのまま[Done]を選びます。
インストール処理
その後、インストール処理がスタートします。インストール処理が完了すると「Reboot Now」を選んで終了します。SSH接続が切れて、Ubuntuのインストーラはディスクイメージが書き込まれたUSBメモリの取り外し待ち状態になるので、USBメモリを抜いてPCに接続していたキーボードからEnterキーを押します。
SSHでUbuntu Serverに接続
WindowsやMacのターミナルから固定IPv4アドレスにSSH接続できればインストール成功ですが、WindowsやMacのターミナルには、おそらく以下のようなエラーが発生します。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
@ WARNING: REMOTE HOST IDENTIFICATION HAS CHANGED! @
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
IT IS POSSIBLE THAT SOMEONE IS DOING SOMETHING NASTY!
Someone could be eavesdropping on you right now (man-in-the-middle attack)!
It is also possible that a host key has just been changed.
The fingerprint for the ECDSA key sent by the remote host is
・・・
そこで、ホームフォルダの直下にある.sshフォルダにできているknown_hostsファイルを削除するか、またはテキストエディタで開いて固定IPv4アドレスの書かれている行を削除します。これでSSH接続できるようになります。(Are you sure you want to continue connectingが表示されたらyesと入力)
ssh 【ログインユーザ】@【固定IPv4アドレス】
いったんUbuntu Serverをシャットダウンして、キーボードやディスプレイを外します。
sudo shutdown -h now # パスワード入力が必要
キーボードやディスプレイを外したら、再びPCの電源をオンにしてSSH接続できることを確認します。
インストールした後に日本語環境を整える手順
インストール時の言語に日本語を選択しなかった場合は、Ubuntu ServerにSSH接続して以下のコマンドを実行すれば日本語環境を整えることができます。
sudo timedatectl set-timezone Asia/Tokyo # タイムゾーンを東京に変更する
sudo apt update # パッケージ情報を更新する
sudo apt install language-pack-ja # 日本語の言語パックをインストールする
sudo update-locale LANG=ja_JP.UTF-8 # ロケールを日本語(UTF-8)に変更する
Ubuntu Serverのアップグレード
現在システムにインストールされている全パッケージのみを更新するのであれば、apt upgradeを使います。
sudo apt update
sudo apt upgrade
aptのマニュアル(man apt)によると、apt upgradeでは既存のパッケージが削除されることはなく、パッケージのアップグレードにインストール済みパッケージの削除が必要な場合、そのパッケージのアップグレードは行われないとのこと。
apt full-upgradeでは、システム全体をアップグレードするために必要に応じて現在インストール済みパッケージの削除も行ってくれるとのことです。
sudo apt update
sudo apt full-upgrade